地域とともに 地域のために 地域とともに 地域のために

雪国の取組紹介
 ーテーブルリリー&こいぶみプロジェクト

津南に、温泉宿「雪国」に、いらしてくださったお客さまとつながりたい。
地域の魅力を届けたい。
それが始まりでした。

つなぐのは、津南の自然が育んだ花、そしてお米。
直接、お客さまにお渡しすることで、
一緒に、生まれた地域の物語を伝えることで、
「雪国」を、津南を、身近に感じていただきたいと思います。

家族で営む小さな温泉宿だからこそ、手から手へ。
地域の魅力を通して、笑顔があふれますように。

「津南」をお持ち帰りください

お帰りの際、お客さまにお渡ししているものがあります。

カップに入ったユリの花蕾ブーケ「テーブルリリー」、あるいはお米。
テーブルリリーは、津南で生まれた
「雪美人」ブランドのオリエンタルユリに、津南産の草花を組み合わせました。

持ち帰って、容器のフタを返し、ブーケを挿せば、そのまま花瓶に。

お米は、津南産の新米コシヒカリを
「また会いに来てほしい」という気持ちを込めて、「こいぶみ」と名付けました。
花開く頃、あるいはお米を頬張る時、
もう一度、津南の風景や心地いい風を、思い出してください。


7月~10月 テーブルリリープロジェクト
11月~6月 こいぶみプロジェクト

※1泊2食付きプランでご宿泊のお客様へ“1予約につき1個“お渡ししております。

YUKIGUNI TABLE LILY PROJECT YUKIGUNI TABLE LILY PROJECT

「もったいない」から誕生。
仕事の確保にもつながってJA津南町×ユリ農家

津南は、全国有数のユリの産地。特に「カサブランカ」をはじめとするオリエンタルユリは、最高品質を全国に届けています。
ただ、「雪美人」というブランドを守るために、厳しい基準を設けていることから、規格外になるユリが少なくありません。「咲けば同じなのに」。

折しもコロナ禍、ブライダルの需要が激減する一方、家時間に目が向いて、切花の需要が伸びていました。
また、その凛とした姿と価格から「高嶺の花」であるオリエンタルユリを、「もっと身近に、手頃な価格で提供したい」という思いが産地にはありました。
ユリ農家とJA津南町が手をつなぎ、生み出したのが、ユリのつぼみを使った「テーブルリリー」です。

「持ち帰ったら、そのまま飾れるように」とフラペチーノ風のカップを転用することに。では、だれが作る? たまたま生産農家と知り合いだった福祉施設「すみれ工房」に聞いてみると「仕事が増えるのはありがたい」と。廃棄されるはずだったユリと、施設の利用者が手をつなぎ合い、テーブルリリーは安定して提供されることになりました。

手作りの道具を使って
美しく手早く完成「すみれ工房」

材料は、カサブランカを含む大輪のオリエンタルユリと季節の草花。
ユリのつぼみを短く切ったものを、3種ほどの草花と組み合わせてブーケに。最後に自然素材のラフィアで結び、仮留めの針金を外して、完成です。
手作業の中心は、ユリと草花を束ねる工程。すみれ工房では、DIYの得意な施設長が、両手でブーケを束ねられるよう、仮置きする道具などを考案。利用者の作業を楽に、そしてスムーズに進める工夫もなされています。
特にこの作業が好きだという女性二人は、合わせた茎を仮置きすることなく、手の中で合わせて針金で留めていきます。専用の紙バッグも、使用済みの封筒を使ってリサイクル。生産者の手。作業者の手。いくつもの手が結びつき、テーブルリリーは生まれています。

雪国の知恵を生かした
「雪室」で出荷を待つJA津南町「雪室」

出荷前のオリエンタルユリ「雪美人」は、開花調整のため、いったん「雪室」に入ります。
「雪室」とは雪国で受け継がれてきた暮らしの知恵。
建物の中に高さ10mまで雪をぎっしり入れることで、真夏でも常に4℃前後に保ちます。
集荷場の中には雪室の他、マイナス1℃の冷凍庫や10℃ほどの空間もあり、出荷のスケジュールに合わせて場所を変え、全国12カ所の花市場へと送り出しています。
セリでは日本一の価格が付くこともある「雪美人」は、出荷までの間をここで静かに、眠るように過ごしています。

テーブルリリーの活用

  • 部屋に飾って

    持ち帰って数日で花が咲きます。
    ユリの種類や花色は実にさまざま。白、ピンク、オレンジ、黄色。中には、カサブランカの八重も。どんな色の花が咲くのかも、楽しみです。

  • プレゼントやおみやげに

    事前にご連絡いただければ、ご購入いただくこともできます。オリエンタルユリを中心に、春には春の花、秋にはススキ。津南の野の風景を、おみやげにしてください。

  • 移動中はカップホルダーに

    フラペチーノ風のカップは、車のホルダーに入れれば、スムーズに持ち運べます。持ち歩く場合は、専用のリサイクル紙バッグで。「雪国」では環境に配慮し、容器にバイオマスプラスチックを採用しています。

YUKIGUNI TABLE LILY PROJECT YUKIGUNI TABLE LILY PROJECT

食べて、思い出してほしい。
また、来てほしい。思いを込めて雪国×コメ農家

はじまりは、「もっと、津南のおいしいお米を知ってほしい」との思いでした。 コロナ禍。旅行客が少なくなり、旅館や飲食店でお米の消費が落ちる中、町と農家と旅館が手を結び、生まれたアイデアが、津南産のお米を持ち帰ってもらうこと。
家に帰って炊いた時、一口食べた時、旅先の風景を思い出してもらえればと。 その気持ちを手紙になぞらえ「こいぶみ」と名付けました。

津南のお米のおいしさは折り紙付きです。
昨年、津南町で行われた国内最大級のお米のコンクール「米・食味分析鑑定コンクール国際大会2023」でも、出品数5,000店以上から選ばれた金賞18点に2つの農業法人が入ったほど。

「雪国」では、自分たちも加わってスタートした「こいぶみ」プロジェクトを、はじまりの思いとともに受け継ぎ、続けています。
「うれしい」。たとえ言葉がなくても、外国のお客さまでも、その表情から喜びが伝わるとこちらもうれしくなります。なかには「購入したい」と連絡をくれる方もいて、「こいぶみ」をきっかけに、お客さんと心通うやり取りが始まっています。

「もう一度、津南に会いに来てください」。
そんな気持ちも込めています。

小さな紙袋に詰まったお米
「こいぶみ」は、
一つひとつ、すみれ工房でパッケージ。雪国×すみれ工房

小さな紙袋にシールを貼り、裏面には「雪国」のスタンプを押します。お米を入れやすくするために口を四角に開き、お米を計量して注ぎ入れ、最後に口を閉じます。
一人一役。自助具を使って、丁寧に自分の作業をこなして、次の人に託します。 端材を使って自助具を手作りしている施設長の福原吉重さんは言います。「特にシールやスタンプは、道具を使わなくても作業できますが、依頼いただいている仕事ですから、定位置に揃えることが大切。だれが作業をしても、同じものができるということ、常に完成品として届けることを一番に考えています」。

11月から6月にお渡ししていることから、すみれ工房での作業は冬の時期に。外には雪が数mも積もる中での作業ですが、「農閑期は農家からの依頼作業も少なくなるのでありがたい」。その気持ちを、そのまま手先に込めて、パッケージしています。

お客さん、農家、すみれ工房。「雪国」の周りにあるみんなが喜びを感じ、つながりができる、三方よしのプロジェクト。お米を袋から出した時、炊き上がった時、津南の香りが、関わっている人たちの笑顔が、届きますように。笑顔の輪が、つながりますように。